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勤務表を早く出しても予定が変わる:直前変更と交代を分けるシフト設計

先に決まった勤務枠と、矢印で交換する勤務枠を並べたカレンダー

来週の勤務表を早く知らせた。しかし週末の催事に備えて、火曜の朝勤務を夕方へ変えた。勤務時間の合計は同じでも、従業員が決めていた送迎や通院の予定は崩れる。一方、本人が同僚と勤務を交代したいときまで禁止すると、予定を変える自由も失われる。

勤務表を作る管理者は、需要に合わせる柔軟性と、働く人が先の予定を組めることをどう両立させるか。早く公表すること、会社が後から変えないこと、本人が交代できることを分けて設計するのが、本稿の提案である。通知日だけを改善目標にすると、公表済みなのに頼りにできない勤務表を作りかねない。

この記事の目次
  1. 安定したシフトは、固定したシフトとは違う
  2. Gapの結果を「早く出せば売上が上がる」と読まない
  3. 公表が早まっても、本人が予測できるとは限らない
  4. 仮想例:朝勤務を残すか、夕方へ動かすか
  5. 確定する部分と、変更できる部分を先に決める
  6. 通知日と、実際に使えた予定を一緒に見る

安定したシフトは、固定したシフトとは違う

ここでいう安定性は、全員が毎週同じ曜日に働くことだけではない。いつ働くかを前もって知り、通知された時間がその後も生活の予定に使え、自分の事情が変わったときには交代を申し出られることを含む。時間の総量が十分かという問題も、それとは別にある。

店の都合で勤務時間を変えることと、本人の希望で交代することは、どちらも勤務表の変更である。それでも、本人が使える裁量は反対になる場合がある。変更件数を減らすために希望する交代を断れば、数字は改善しても、本人にとって便利な勤務表になるとは限らない。

在宅と出社の組み合わせは、ハイブリッド勤務の記事で扱っている。ここでは、店や窓口で働く時間そのものを通知し、その後どこまで変えられるかに問いを絞る。

Gapの結果を「早く出せば売上が上がる」と読まない

Kesavanらの2022年の原論文は、米国Gapのサンフランシスコ、シカゴ地域の28店舗で、2015年11月から2016年8月に行った店舗を偶然に二つの条件へ振り分ける無作為化実験を報告している。出版社抄録では、変更を割り当てた店舗と、比較のための店舗を比べる分析で、店舗生産性が5.1%、売上が3.3%増え、労働投入が1.8%減ったとしている。

ただし、試したのは早期通知だけではない。研究者による実験説明では、二週間前の通知と、開始直前に取り消し得る仮の勤務枠の撤廃は、介入19店舗と対照9店舗の双方で続けられていた。その上で介入側に、勤務交代のアプリ、始業・終業時刻や週ごとの勤務パターンをそろえる工夫、一部の従業員への勤務時間の保障、特定の時間帯の追加配置を組み合わせた。

この比較から、二週間前に出すという一つの変更へ5.1%の効果を割り当てることはできない。追加配置の費用はGapが負担し、店舗の労務予算には課さなかった。研究側はデータから対象店舗を選び、追加配置は介入19店舗のうち13店舗に行われた。店舗予算に負担がないことは会社全体で無料という意味ではなく、通常の店舗へ移すなら費用をどの予算で負担するかを確かめる必要がある。どの要素が何割を生んだかを、抄録の数字だけで切り分けない。

同じ実験の2018年報告には売上の中央値7%という結果もある。2022年の売上3.3%と別の再現実験として数えたり、中央値を平均値と読み替えたりしない。ここで使うのは、複数の設計をまとめて変更しても、業績と安定性が必ず対立するとは限らないという根拠である。日本のすべての店舗に同じ改善率を見込む材料ではない。

公表が早まっても、本人が予測できるとは限らない

早期通知への留保は、Lambertらの2019年の別の原研究にもある。米国の時間給の小売職を扱う実験の過程評価で、介入店舗では対照より早く勤務表を公表したが、従業員が働く時間を予測する能力の改善は認められなかった。出版社抄録から、なぜ改善しなかったかの詳細まで確定することはできない。

これは、通知が無意味だという結果ではない。管理者が早く出したという実施の指標と、従業員が先の勤務を見通せたという結果の指標を、別々に見る理由になる。本稿の例なら、公表から勤務日までの間に何が変わり、本人がその変更を選べたかを確認したい。

また、Gapの2018年報告書が比較する予測可能性は、当初の勤務表と実際の勤務の時刻・時間の一致などであり、この分析では従業員が求めた変更と管理者が求めた変更を区別していない。変更の発端を分けて見るという以下の方法は、本稿の編集上の提案であり、Gap実験でその方法の効果まで検証したわけではない。

仮想例:朝勤務を残すか、夕方へ動かすか

窓口業務で、火曜9時から13時の勤務を十日前に知らせたとする。三日前になり、夕方の予約が増え、管理者は同じ人を15時から19時へ移したくなった。本人は13時以降に家族の予定を入れている。勤務時間はいずれも四時間である。実在企業の事例ではなく、判断の違いを示す仮定である。

一つ目の案は、本人へ夕方への変更を求めること。必要な技能を持つ人をすぐ配置しやすいが、先に知らせた勤務表を頼りに決めた生活の予定を崩す。二つ目は、朝勤務を確定したまま、夕方の追加枠を引き受けられる人へ募ること。本人の予定は守れるが、追加の費用や、必要な技能を持つ人の有無を確認しなければならない。

この条件なら、朝勤務を維持し、夕方は追加募集から探す案を選びたい。変更先で働けないと分かっている人を、人数の帳尻だけで割り当てても、実際の配置にはならないからである。既存の勤務を移す前に、夕方に必要な技能と人数、募集へ回答できる期限を示す。応募がなければ、予約の受け入れ量や業務の時間を調整できる責任者へ戻す。

条件が変わり、本人が夕方へ移ることを希望し、朝の窓口を担える同僚と交代を申し出たなら、変更を認める理由がある。どちらの時間帯も必要な仕事を担え、本人同士が無理なく働けることを確認する。この交代まで一律に禁じると、守ろうとした予測可能性が、本人の事情に対応できない硬直性へ変わる。

一方、欠員が出て業務を継続できないなど、追加募集を待てない場合もある。そのときは例外として変更を相談し、勤務可能な人を確認する。単に例外と呼ぶだけで毎週同じ変更を繰り返すなら、確定した部分が実質的に残っていない。夕方の需要が繰り返すと分かった時点で、次の勤務表を作る前の配置へ戻す。

十日前に火曜9時から13時を通知した後、三日前に会社が15時から19時へ変更を求める経路と、本人が希望して同僚と交代する経路を比較する。通知日だけでなく、変更の発端と実際に勤務できる予定を確認する時間軸
概念図:同じ四時間の勤務でも、会社から求める変更と、本人が希望する交代では、予定に使える裁量が異なります。日数と時間は説明用の仮定であり、推奨する通知基準ではありません。

確定する部分と、変更できる部分を先に決める

日々の運用では、毎回の変更に善悪を付ける前に、勤務表を公表した後も守る部分を決める。一定の曜日や時間帯を確定できるなら、その部分は需要予測の小さな変化だけでは動かさない。追加の需要へ対応する枠は別に示し、本人が引き受けるかを選べるようにする。

本人の裁量を増やせば、自動的に配置が整うわけでもない。Bailynらの2007年の原著は、一病棟で約一年、看護師が自ら勤務枠を選ぶ仕組みを試した事例を報告している。既に埋まった枠への記入や必要な配置の不足が生じ、管理者が修正し、試行は終了した。単一の病棟の事例で、小売店の交代制度の効果を否定する実験ではない。それでも、希望を出せることと、希望どおり働ける配置ができることを分ける留保になる。

交代では、申し出た人、代わる人、変更後に担う仕事を確認する。誰でも同じ技能を持つとは限らないため、二人の同意だけで業務が成立するとは決めない。一方、必要な条件を満たす交代を、管理者の慣れた組み合わせを崩すという理由だけで断れば、従業員の裁量は広がらない。

追加募集がいつも同じ人へ集まるなら、その人が断れる状態か、元の勤務時間や休息に無理がないかも確認したい。応募という形式だけで負担が解消したとは扱わない。確定部分を大きくし過ぎて必要な仕事を担えない場合には、配置の見直しが必要になる。変動する需要へ能力を残す考え方は、割り込み仕事と余力の記事に詳しい。ここでは、その調整を通知後の個人の予定へ押し戻す前に判断する。

通知日と、実際に使えた予定を一緒に見る

見直しでは、公表が何日前だったかに加え、公表後に会社が変更を求めた勤務、本人が希望した交代、取り消した勤務を分ける。件数だけでなく、何日前の変更か、始業・終業のどちらが動いたか、本人が働けると答えたかも確認する。これは運用を比較するための観点であり、新しい記録方式の因果効果を示すものではない。

同時に、実際の配置で必要な仕事を担えたか、追加募集が埋まったか、勤務時間が足りず困る人が増えていないかを見る。会社からの変更が減っても、欠員や本人の望まない時間不足が増えれば、確定部分の取り方を見直す。前後の売上差だけで勤務表の効果を決めず、予約や催事など需要の違いも考慮する。

勤務表の早期公表は出発点になる。そこから、会社が後で動かす部分を小さくできるか、本人が希望する交代を残せるか、変更後も本当に働けるかへ進む。通知した日ではなく、通知した予定をどこまで頼りにできるかで、シフトの設計を選びたい。

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